あらためて知る 「補助金」とは

「知り合いが補助金をたくさんもらっていたと聞いて、自分も使いたいと思って」というお問い合わせをいただきました。

お金はあって困ることはありませんし、もらえるものはもらっておきたい!と思うのは世の常。そんな補助金、実は数多く存在します。それを知れば「もらえるものならもらいたい!」と思う事業者がいるのも当然のことかもしれません。

しかし、補助金の原資は税金です。ただただ「欲しい!」という人になんの審査もなく配られるものではありません。そもそも「補助金」とはなにか、どうしてそんな制度があるのか、あらためて考えてみましょう。

有名どころ補助金の「制度目的」

有名な補助金としてあげられるものに、以前からある「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」IT化を目的とした「IT導入補助金」、そしてコロナの影響を受けて新設された「事業再構築補助金」が挙げられます。

これらの補助金はすべて補助金ごとの目的が異なり、補助金が交付される経費にも違いがあります。IT導入補助金は少し色合いが違うので、今回は小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金・事業再構築補助金について簡単な比較を表にまとめてみました。

小規模事業者持続化補助金ものづくり補助金事業再構築補助金
対象者小規模事業者中小企業
小規模事業者
中小企業者(個人事業主含む)
中堅企業等
目的中小企業や個人事業主などの小規模事業者を支援おもに製造業における革新性のある製品開発や生産技術の向上を支援大規模な変革再構築を行う事業者を支援
支援の枠組み販路開拓等取り組み
あわせておこなう業務効率化
・通常枠
・賃金引き上げ枠
・卒業枠
・後継者支援枠
・創業枠
おもに機械装置・システム構築
・通常枠
・回復型賃上げ・雇用拡大枠
・デジタル枠
・グリーン枠
・グローバル市場開拓枠
・成長枠
・グリーン成長枠
・卒業促進枠
・大規模賃金引上促進枠
・産業構造転換枠
・サプライチェーン強靱化枠
・最低賃金枠及び物価高騰対策・回復再生応援枠
対象経費①機械装置等費
②広報費
③ウェブサイト関連費(単体では申請不可)
④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談
会等を含む)
⑤旅費
⑥開発費
⑦資料購入費
⑧雑役務費
⑨借料
⑩設備処分費
⑪委託・外注費
①機械装置・システム構築費(単価50万円(税抜き)以上)
②技術導入費
③専門家経費
④運搬費
⑤クラウドサービス利
用費
⑥原材料費
⑦外注費
⑧知的財産権等関連経


グローバル市場開拓枠はさらに
⑨海外旅費
⑩通訳・翻訳費
⑪広告宣伝・販売促進費
①建物費
②機械設置・システム構築費
③技術導入費
④専門家経費
⑤運搬費
⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費
⑧知財関連経費
⑨広告宣伝・販促費
⑩研修費
⑪廃業費

各補助金の制度の中でも、補助金額や補助率に違いがありますが、今回はざっくりと制度の違いをまとめてみました。詳細についてはまた記事にしていきますので、ご確認ください。

ただしく「使われるもの」であるためのルール

法律の根拠がちゃんとあります

国が補助金を支給する根拠と基本的なルールは「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に書いてあります。

この法律の第1条には補助金を不正に申請すること、補助金の不正な使用を防止すること、補助金の予算の執行と交付決定を適正なものにすることを目的とした法律であることが書かれています。

そのうえで、この法律では、不正に申請したり、不正な使用をしたり、適正な予算執行と交付決定をしなかった者には罰則を科すことにしています。シビアな制度であることはお分かりいただけるかと思います。補助金とは性質が違いますが、コロナ禍で事業としておこなわれた持続化給付金や事業復活支援金の不正受給で逮捕者が出たように、不正な申請や使用は罰則対象です。

また、交付決定がされたあとも、違反があった場合は交付された補助金を返還しなければならなかったり、それに付随して加算金や延滞金が求められる場合もあります。そんな制度になっていますので、安易に「もらえるものはもらっとけ!」といえるものではないとおわかりいただけたかと思います。

申請から交付決定までの流れ

  1. 補助金等の交付の申請
  2. 補助金等の交付の決定
  3. 決定の通知
  4. 補助事業等及び間接補助事業等の遂行
  5. 状況報告
  6. 実績報告

なお、基本的に申請にはGビズIDを取得する必要があります。現在、補助金申請は電子申請が主軸となっており、一部書面提出もできるものがありますが書面提出すると減点対象になります。補助金の審査では、加点・減点方式が取られていますので、ひとつでも減点を減らし、加点を増やしていくのが重要です。

また、小規模事業者持続化補助金(一般型)については必ず申請者が商工会議所または商工会に相談し、事業支援計画書(様式4)、事業承継診断票(様式10)は、管轄の商工会議所より交付を受けなければなりません。事前に予約し、期限を守る必要があります。

本当に必要なものかを考えましょう

補助金はあくまでも事業を支援するための費用を一部支出してくれるものです。使える経費にも縛りはありますし、きちんとした目的がなければ認めてもらうことはできず、補助金が出ることもありません。事後報告も必要なためそれなりに手間がかかりますし、いったん現状の事業の見直しもすべきかもしれません。事後報告も必要なためそれなりに手間がかかりますし、いったん現状の事業の見直しもすべきかもしれません。

また、補助金の給付は一度全額持ち出しで補助事業がおこなわれたあとになされますので、その費用の工面も前もって準備が必要になります。ただ単に「お金もらえるならもらいたい」のと「こんな事業がしたいからそのための支援が必要」ではまったく意味が違うことはおわかりいただけたのではないでしょうか。他方で、ご自身で申請される場合は申請にかかる費用は特にありませんので、もし一度申請してダメでも再チャレンジは可能です。

今回は、補助金についておおまかにまとめてみました。今後は採択事例などにも触れつつ、どんなことに注意が必要かといった情報にも触れてみたいと思います。

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