民間車検場の「指定」について
中古車販売大手のビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題で、大きな動きが出てきました。国土交通省は近く、7月に立ち入り検査をした同社の整備工場のうち12工場について、道路運送車両法に基づき、民間車検場としての指定を取り消す方針を固めたということです。
つまり、大手の整備工場が指定取り消しという行政処分を受けることになります。
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車検とは
そもそも車検とは、自動車の安全性や環境性能を定期的に検査する制度のことです。日本では、新車の場合は初回の車検が3年後、それ以降は2年ごとに車検を受ける必要があります。車検を受けないと、違反点数が加算されたり、罰金や懲役に処されたりする可能性があります。
車検は国土交通省が指定した検査場で行われますが、その中でも大きく分けて二種類あります。一つは、自動車整備工場やディーラーなどが併設している指定整備工場です。民間車検場としては、ガソリンスタンドなども含まれます。
ここでは、車検の前に必要な整備や修理を一括して行ってもらえます。もう一つは、国や地方自治体が運営する公共の検査場です。ここでは、整備や修理は行われませんが、検査料金は安くなります。
ビッグモーターは民間車検場としての指定を受けていました。「指定工場」に該当します。「指定工場」とは、自動車の整備について一定の基準に適合する設備、技術及び管理組織を有するほか、自動車の検査の設備を有し、かつ、自動車の検査を行う者(自動車検査員)を選任している工場のことです。
この指定工場では、自動車の点検整備から車検検査まですべて行うことができます。 つまり、「指定工場」では「整備もできるし車検もできる」ということになります。 指定工場は「民間車検場」とも呼ばれています。
「指定」は行政から受ける必要があります
以下の条件を満たした業者は、国土交通省に申請し、審査を受けることで、民間車検場の指定を受けることができます。なお、民間車検場の指定は、一般的に5年ごとに更新されます。
- 自動車整備事業の許可を受けていること
- 整備工場の規模や設備が一定の基準を満たしていること
- 整備士の資格や技能が一定の基準を満たしていること
- 車検業務に関する法令や指導要領を遵守すること
「指定」が取り消される理由
今回ビッグモーターが受けることになる民間車検場の指定取消について、理由として以下のようなものがあげられます。
- 車検の実施方法や結果の記録に不正があった場合
- 車検証やステッカーなどの発行に不正があった場合
- 車検設備や人員が不適切だった場合
- 車検料金や受付時間などの表示が不適切だった場合
- その他、国土交通省が指定取消に相当すると判断した場合
これまでのニュースで多くの方はご存じと思いますが、故意にお客様からお預かりしている車両を傷付け、保険金の不正請求ということにつながりました。いくつかの理由に該当しており、それが原因で、今回の処分となりました。
指定取り消しの効果
指定取消になると、当該の民間車検場は車検を行えなくなります。また、すでに車検を受けた車両も再検査を受ける必要があります。指定取消に関与した者は、罰金や懲役などの刑事罰を受ける可能性もあります。
そのため、民間車検場を利用する際は、信頼できるところを選ぶことが大切です。国土交通省のホームページでは、指定取消された民間車検場の一覧を公開されています。もっとも、今回ビッグモーターの違反点数は全部で1万3千点を超えるということで、かなり天文学的な数字である気はいたします。
整備の必要がある場合は、信頼できる先にお願いするようにしましょう。また、近年ではユーザー車検が増えています。もしご自身で車検だけを受けたいと思われた場合は管轄の陸運局にお問い合わせください。とても親切に対応していただけますよ。