自動車業界と補助金の関係

事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金それぞれの補助金採択事例の中にどの程度自動車業界の事業者さんが含まれているのだろうと思い、調査して一覧表の作成をしました。なかでも事業再構築補助金についてはなかなか面白いことがわかりました。

事業再構築補助金について

そもそも事業再構築補助金とはどんなものかといいますと以下のように定義されています。

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。

「事業再構築補助金」サイトより

簡単にいいますと、コロナの影響を受けて売り上げが落ちてしまった事業者さんたちが事業を見直したり新たな事業に取り組む場合に資金面を補助金というかたちで国が支援していきますよということです。「コロナの影響で落ちた売り上げ」を取り戻し、さらに売り上げを伸ばしていくためのものですから、この事業再構築補助金をください!と申請するためにはコロナの影響で売り上げが減少したことが前提になります。

ある種の再編問題はそこまできていた?

事業再構築補助金はコロナの影響を受けた事業者さん向けであることから、わたしは自動車業界でどんな目的で補助金申請がなされているのだろうということを調べるまであまりわかっていませんでした。ところが、自動車業界で大きな問題があったことを思い出し、「なるほど!」となったことがありました。

「2024年4月以降、車載式故障診断装置(OBD)車検で、先進安全技術のエーミング作業を省略した車両は車検に通らない」問題です。つまり、経過措置期間が終わる2024年4月までにエーミング作業をできる体制を整える必要があるということです。エーミング作業に使われる工具・機械がなかなかの金額になります。小さな整備工場では導入が難しいのではないでしょうか。第2回・第3回の採択事例では6件確認できました。

当初、わたしはこのような設備投資はものづくり補助金の範疇なのかなぁと考えていたのですが、調べてみると事業再構築補助金で導入されているケースが多々あることに気が付きました。同様に塗装業の方が水性塗料への転換にものづくり補助金ではなく事業再構築補助金を活用されていることにも気が付きました。こちらは5件確認できました。

自動車業界でももっと活用できないか

ものづくり補助金では塗装ブースの導入に使われる事例が多く見られますが、そもそも補助金を利用して新たな事業を始めることや新規の設備投資というかたちで自動車業界で補助金を利用している事例はあまり多くない印象です。

リフトや工具・機械の導入に小規模事業者持続化補助金が使われた事例はいくつか確認できました。ただ、こちらはは補助率が2/3ではありますが、上限額が50万円までとなります。そのため、大きな設備投資というよりは広告宣伝(ホームページの開設やチラシ作成など)のかたちで利用されるのも良いのかなという感覚はあります。

今後、自動車業界も自動運転や電気自動車が販売されていくなかで対応が迫られる場合にあたると考えられます。新たな道を模索しなくてはならない事業者さんもいらっしゃるでしょう。そんなときに、「補助金」というひとつの手段があるということを頭の片隅においてもらえたらいいなとわたしは考えます。

行き先が明るいとはなかなか言われないこの業界ですが、新たな道を模索し発展するお手伝いができたら嬉しいです。

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